税務調査により国税を課税されるのは何年分?
税理士 林 俊一のコラム(第79回)
法人税や所得税、相続税などの税務調査において国の行使し得る権利をいつまでも無制限に認めていては、納税者からみれば法的安定が得られないこととなります。
このため、国税の賦課権については、期間制限が設けられています。
(注)1.賦課権とは、税務署長が国税債権を確定させる処分のことをいい、更正、決定及び賦課決定を行うことができる権利のことです。
賦課権の期間制限には、除斥期間の制度が採られています。
(注)2.除斥期間とは、法律関係を速やかに確定させるため、一定期間の経過によって権利を消滅させる制度のことをいいます。
したがって、納税義務が成立していても、未確定のまま賦課権の除斥期間を経過した場合には、税務署長は賦課権の行使ができないこととなります。
この賦課権を行使できる期間の起算日は、法定申告期限の翌日となります。
例えば、4月決算の法人が法人税申告書を法定申告期限である平成26年6月30日に提出した場合、法人税は5年の除斥期間ですから5年後の令和1年7月1日以後には調査による更正ができないこととなります。
なお、税目別の除斥期間は、「更正・決定及び賦課決定のできる期間一覧表」のとおりです。