湯山 啓太 - ライブラリー

相続税における障害者の税額控除

税制上では、障害者を支援する様々な制度が設けられています。
相続税においても障害者やその親族に対し、障害者控除という優遇措置があります。
障害者控除とは、相続人に84歳以下の障害者がいる場合には、納める相続税額を減らすことができる制度です。roujin_family.png

 

Q.どのくらい相続税を減らすことができますか?

A.相続税の額から次の金額を減らすことができます。

  (85歳-相続開始日における障害者の年齢)×一般障害者10万円(特別障害者20万円)
 

Q.どのような人が障害者控除を受けられますか?

A.この障害者控除が受けられるのは、次の要件をすべて満たしている人です。

①相続の開始があった日において、日本国内に住所があること
②相続や遺贈により財産を取得したこと
③相続の開始があった日において、障害者であること
法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること

 財産を取得していないと受けられませんので、注意が必要です。
 しかし、遺言や遺産分割協議で財産を取得していなくても、亡くなったことにより生命保険金など受取っていれば、財産を取得したことになるので受けられます。
 

Q.一般障害者と特別障害者とは何でしょうか?

A.税法上、次のように決められています。

(一般障害者)

・精神障害者保健福祉手帳の障害等級が2級又は3級である者
・身体障害者手帳の障害の程度が3級から6級までである者
・療育手帳(愛の手帳、みどりの手帳など)の交付を受けた者(重度の者を除く)

(特別障害者)

・精神障害者保健福祉手帳の障害等級が1級である者
・身体障害者手帳の障害の程度が1級又は2級である者
・精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者(成年被後見人など)
・療育手帳の交付を受けており、障害の程度が重度として「A」(「マルA」、「A2」など)である者

 詳しくは国税庁HP(一般障害者の範囲・特別障害者の範囲)をご覧ください。
 

Q.要介護認定を受けている相続人は控除を受けられませんか?

A.受けられる可能性はあります。

 要介護認定を受けていても障害者手帳を持っていない人がほとんどだと思われますが、要介護認定を受けている場合には、お住いの市区町村にて「障害者控除対象者認定書」の発行申請をして、認定書が発行されれば障害者控除を受けることができます。
 相続の開始があった日において、要介護認定を受けている84歳以下の相続人の人は、「障害者控除対象者認定書」の発行の申請をすると、障害者控除を受けられるかもしれません。
 

Q.扶養義務者にも優遇措置はあるのでしょうか?

A.はい、あります。

 障害者控除額が相続税額より大きい場合、控除しきれず、控除額が余ります。
 この場合は、その余った控除額をその障害者の扶養義務者(配偶者、直系血族、兄弟姉妹など)の相続税額から差し引きますので、扶養義務者が納める相続税額も減らすことができます。
 

この制度を以前の相続で受けたことがある場合には、減らすことができる控除額が変わりますので、申告の際には税務署あるいは税理士にご確認ください。