相続した不動産を売却したときの所得税
税理士 高橋 徹 のコラム(第19回)
相続税の改正によって、相続税の基礎控除が大きく引き下げられたことから親御さんの死亡に伴い相続税の申告と納税をされる方が増えてきました。
相続税を納付するために相続した不動産を売却するというケースもこれまで以上に発生しています。
不動産を売却して値上がり益がある場合には譲渡所得が発生し、他の所得と併せて確定申告をする必要があります。
この場合に間違えやすいのは、相続税の申告書に計上した不動産の価格(相続税評価額)は、譲渡所得計算上の原価にならないということです。
譲渡所得の計算上、相続した不動産については先代がその不動産を取得した時期と取得価額を引き継ぐこととなっています。
ただし相続税が課税されている場合には、売却した不動産に対応する相続税を譲渡所得の取得価額に加算できるという特例があります。
この取得費加算の特例を受けるための要件は
① 相続によって財産を取得した人であること
② その財産を取得した人に相続税が課税されていること
③ その不動産を、相続開始の日の翌日から3年10ケ月以内に売却していること
不動産を売ったとき、取得価額が大きいほど譲渡所得が小さくなり、課税額が軽くなるというメリットがありますので活用してください。