100年企業をめざす「事業の承継」 (第27回)
29.わが社はいくらで売却できますか?
POINT
1 ► 自社株式を評価してみる |
2 ► 売り急ぎは足元を見られる |
3 ► 売却適齢期を意識する |
◎ 自社株式を評価してみる
実際に自社株の評価は、複雑な要素が絡み合い、絶対的な基準が存在しません。最終的には専門家による算定と、買い手と売り手が納得する「価格」に落ち着くことになります。
しかし、この自社株評価は、経営者一族にとって一番気になる事柄です。既算するには次の3つの評価方法があります。
① 純資産法
企業が持っている財産の価値から、株価を算出します。貸借対照表の純資産額から、資産の
含み益、含み損と未計上債務を差引いた「時価純資産価額」を算出します。
② 収益還元法
「将来企業がどれだけの収益を、生み出すことができるか」という観点から株価を算出します。
損益計算書から税引き後営業利益を算出し、そこから資本価値や還元価値、預貯金・貸付金および
借入金などを勘案して算出します。
買い手側からは、買収額が何年間で資金回収できるかを示します。
③ 類似業種比準法
同業他社と業績面を比較して、企業の実力を評価して株価を算出します。
◎ 売り急ぎは足元を見られる
市場ニーズがあれば高く売れ、ニーズがなければ安くても売れないのは世の常です。また、商売の駆け引きとして、売り急げば足元を見られ、安い価格で買い手の要望を飲まざるを得ないことがあることも通常の取引と同じです。
経営者が健康で、精神面や体力面でリーダーシップが発揮できる間に、M&Aの実施が望ましいので、M&Aは経営計画に組み込み、長期的に進めることがベストです。
◎ 売却適齢期を意識する
M&Aは、企業同士の結婚とも言われます。適齢期に売却することが、条件を良くする一つの方法でもあります。企業のライフサイクルを、考えてみましょう。企業のライフサイクルは「創生期」「発展期」「成熟期」「衰退期」「再生期」の5つのステージに区分できます。
売り手企業は、現在自社がどの時期にいるのかを把握することが大切です。
一般的にM&A適齢期は、成長期か成熟期になります。衰退期や再生期では売却価格が低くなる、売却できないという可能性があります。
売り手や買い手のそれぞれの思惑で、適齢期も違います。
例えば、買い手が新規事業に参入したい場合は、一定の成長軌道にあることが前提となるでしょう。売却企業のライフサイクルが、どのステージかで売却条件も変わりますので、売却適齢期を意識することは重要になります。
次回タイトル
【M&Aを成功させる必須条件は?】
H26.4.1 更新予定です。 どうぞお楽しみに!