100年企業をめざす「事業の承継」 (第25回)
27.M&Aを実行するまでの手続き方法は?
POINT
1 ► M&Aを決意したら、時間をかけて準備 |
2 ► 売却先と交渉を始め、実行に移す |
3 ► ポストM&A |
◎ M&Aを決意したら、時間をかけて準備
経営者にとって、人生の大半をかけて育て上げた我が企業をM&Aで売却することは、生涯何度も経験することではありません。準備段階では、基礎知識を学ぶことはもちろんですが、専門家に相談しながら、時間をかけて準備を始めます。
① M&A仲介機関の選定
② 売却条件の検討
③ 企業価値を高める
M&A仲介機関とは、秘密保持契約締結を結びます。
株式譲渡価格や、従業員の雇用に関する待遇、買い手企業の業種業態など実態を、明確にしてください。
M&Aで売却を希望しても、企業価値が低く魅力がなければ「足元を見られる」「買い手候補が見つからない」という事態になります。日頃よりM&A交渉に有利になるように、少しでも企業価値を高めることが重要です。
◎ 売却先と交渉を始め、実行に移す
売却先の候補と、交渉を始めます。交渉中でも、業績が悪化しないようにしてください。
④ 売却候補の企業への打診
⑤ 条件交渉
⑥ 基本合意
⑦ デューディリジェンス
⑧ 最終交渉と確認
⑨ 売買契約(クロージング)
買い手候補はすぐに見つからない可能性があります。候補先が決まったら、両社で秘密保持契約を交わし財務内容や事業計画、税務申告など詳しい内部資料を提示し、交渉に入ります。
交渉では、M&Aの手法や譲渡価格の他に、従業員の雇用や役員の処遇などが話し合われます。
デューディリジェンスのポイント
□ 回収不能債権の有無 □ 不動産の含み損
□ 債務保証など簿外債務の有無 □ 有価証券の含み損
□ 潜在的な租税債務の有無 □ 退職金の要支給額
□ 会計処理の適切性 □ 労働組合の有無
□ 事業の環境 □ 役員間の内紛
□ 対外的トラブルの有無 など
基本合意契約後に、買い手企業によるデューディリジェンスが開始され、様々な精査が行われます。デューディリジェンスの情報を基に、詳細な条件を含め最終交渉を行います。交渉合意後に、売買契約の締結となります。
M&Aの手続きと方法
◎ ポストM&A
M&A実行後は、売り手と買い手が融合しながら、企業統合が円滑に進む努力が必要です。
そのために、両社合意の上で、売り手経営者が一定の期間役員などの職に就き、従業員の対応や、取引先への引き継ぎを務めるなども検討します。
次回タイトル
【わが社でもM&Aできますか?】
H26.3.1 更新予定です。 どうぞお楽しみに!