100年企業をめざす「事業の承継」(第9回)
11.親族へ承継する時の注意点はありますか?
POINT
1 ► 子への承継にこだわらない |
2 ► 古参への対応 |
3 ► 後継者以外の法定相続人への対応 |
◎ 子への承継にこだわらない
親族への承継の場合に、経営者が親族に継いでほしいと願う思いが強く出て、後継者としての適性判断が甘くなる可能性があります。
また、あらゆる分野から職業を選ぶことができる現在では、事業を承継することを希望しない親族も多くなっています。後継者として適任でない親族が承継した場合は、企業は衰退しかねません。
従業員などの関係者および、経営者一族が不幸になりかねません。親族をひいき目に見たい気持ちは分かりますが、後継者選びは客観的かつ慎重に行ってください。
◎ 古参への対応
経営者を長年支えてきた、古参の役員や従業員にとって、後継者は甥や姪のように身内同然の場合があります。このような場合は、後継者が古参役員に対して頭が上がらない存在となり、承継後トラブルの原因となりかねません。
また、現経営者と共に、会社を成長させてきた時間は、人生の誇りでもあります。その分現経営者との絆も、深くなっています。後継者に満足がいかず、足を引っ張る古参も現れるかもしれません。後継者をサポートしてくれる古参は残し、その他の古参には引退してもらうなど対策が必要です。
後継者が中心となり、舵を取りやすい新体制を整えてください。
◎ 後継者以外の法定相続人への対応
後継者には、株主総会で重要事項の決議ができる3分の2以上の議決権を集中させ、事業用資産も後継者の所有にすることが、望ましいでしょう。
しかし、現経営者の財産を、後継者へ集中させることで、後継者以外の法定相続人の持つ、遺留分の制約を受ける可能性があります。複数の子がいる場合に、長男は社長に次男は専務にというように、共同で承継させたいと思う気持ちもあるでしょう。
兄弟姉妹間での共同承継は、その兄弟姉妹の代の間は争いは起こらないかもしれません。
しかし、その子供(現経営者にとっての孫)が承継する頃には、経営権を巡って親族同士が、争いになる可能性が高くなります。
親として、経営者として後継者をはっきりさせ、後継者以外の親族に理解を得ることが大切です。
公正証書遺言の活用と、遺留分への配慮を行ってください。
次回タイトル
【親族へ承継するときの3つの方法を教えてください】
H25.7.1 更新予定です。どうぞお楽しみに!!