100年企業をめざす「事業の承継」(第71回)
72.小規模宅地の特例は、どんな土地でも活用できますか?
POINT
1 ► 小規模宅地等の特例の概要 |
2 ► 特例の対象となる宅地 |
◎ ———— 小規模宅地等の特例の概要
相続または遺贈により取得した財産のうち、一定の要件を満たす故人の自宅や事業用に使われた宅地に対して、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額します。
この特例を小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(以下:小規模宅地等の特例という)といいます。相続開始の直前における宅地等の利用区分により、要件、面積、減額の割合が異なります。
表1にありますように、この規定を適用できる土地の面積には上限があります(200㎡~400㎡)。したがって、複数の土地を所有している場合は、どの土地にこの規定を適用させるかの判定をする必要があります。さらに、相続税の申告期限までに、対象土地の遺産分割が確定していることが要件のひとつとなっております。したがって、揉めない対策をしておくことが、必要になります。
相続開始前3年以内に贈与により取得した宅地等や、相続時精算課税に係る贈与により取得した宅地等については、この特例の適用を受けることはできません。
◎ ———— 特例の対象となる宅地
この特例は、次のいずれかに該当する、宅地等であることが必要です。
① 特定居住用宅地等
●被相続人の配偶者が取得
●被相続人と同居していた親族が取得。相続税の申告期限まで継続保有と継続居住
●配偶者および同居親族が無い場合で、相続開始前3年以内に日本国内にある、
自己または配偶者の所有する家屋に居住したことが無い親族が取得し、申告期限まで保有
●被相続人と生計を一にしていた親族がその宅地等を取得し、相続開始前から申告期限まで
継続して自己の居住用と継続保有
② 特定事業用宅地等
●被相続人が営んでいた事業(不動産貸付業等は除く)を、後継者が承継し、申告期限まで
該当宅地を継続保有し、引き続き営んでいる
●被相続人と生計を一にしていた親族が、相続開始前から申告期限まで継続して自己の事業
用と継続し、保有していること
③ 特定同族会社事業用宅地等
●相続開始から申告までに法人の事業(不動産貸付業を除く)のように供されている宅地
●相続開始直前に、被相続人およびその親族、被相続人と特別の関係がある者が有する株式
の総数または、出資の総額の割合が50%を超える法人
●相続税の申告期限に上記の役員であること
●相続開始から相続税の申告期限まで保有していること
④ 貸付事業用宅地等
●不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場および事業と称するに至らない、不動産の貸し
付けのように供されていた宅地
●被相続人が営んでいた貸付事業等を後継者が承継し、申告期限まで該当宅地を継続保有し、
引き続き営んでいる
●被相続人と生計を一にしていた親族が、相続開始前から申告期限まで継続してその宅地等
に係る貸付事業を継続し、保有していること
小規模宅地等の特例条件 ※故人の親族に限られる
次回タイトル
【役員退職金を活用すると、どんな効果がありますか?】
H28.2.1 更新予定です。 どうぞお楽しみに!!