100年企業をめざす「事業の承継」(第70回)
71.配偶者控除を活用すると、納める税金が減るって本当ですか?
POINT
1 ► 相続税の配偶者控除を活用する |
2 ► 贈与税の配偶者控除を検討する |
◎ ———— 相続税の配偶者控除を活用する
配偶者が相続した財産は「相続税の配偶者控除(配偶者の税額軽減)」を利用すると、配偶者が相続や遺贈により取得した財産のうち、次のどちらか多い額まで相続税がかかりません。
① 法定相続分 ② 1億6,000万円
この配偶者控除は、婚姻の届出をしていれば、婚姻期間が1日でも正式な婚姻関係にあれば、控除を受けることができます。しかし、仮装または隠ぺいされていた財産は、特例の対象となりません。
この控除を利用するためには、次の手続きが必要です。
① 亡くなった日から10ヵ月以内に申告が必要
相続税の配偶者控除の後に、納める相続税額が0の場合でも、申告が必要です。
② 遺産分割が完了している
相続税の申告期限までに、遺産分割が完了していない場合は、配偶者控除を受けることが
できません。したがって、配偶者控除を適用しなかったものとして、相続税の申告と納税を
行います。
しかし、相続税の申告期限までに所轄の税務署長宛に、遺産を分割できない理由を届出して
了解を得れば、3年間はこの税額軽減を利用することができます。
◎ ———— 贈与税の配偶者控除を活用する
結婚して20年以上になる夫婦間の場合には「贈与税の配偶者控除」を受けることができます。この控除を受けるための要件は、次になります。
① 婚姻期間が20年以上の夫婦間での贈与
② 居住用不動産または、不動産を取得するためのお金
③ 相続開始3年以内の贈与でも、相続財産に加算されない
④ 贈与税の基礎控除額の110万円と併用できる
⑤ 制度の適用を受けられるのは、同一の夫婦間で1回限り
⑥ 贈与の年の翌年3月15日までに居住のように供し、引き続き居住の見込みである
⑦ 贈与税の配偶者控除の後に、納める贈与税額が0の場合でも申告が必要
最初の一次相続(経営者)の段階で、この配偶者の税額軽減の活用の仕方により、一次相続と二次相続を合わせた相続税額が異なってきます。
利用する場合は、専門家に相談し二次相続まで配慮して下さい。
次回タイトル
【小規模宅地の特例は、どんな土地でも活用できますか?】
H28.1.15 更新予定です。 どうぞお楽しみに!!