100年企業をめざす「事業の承継」(第66回)
67.連帯保証債務を相続するときの、注意点を教えて下さい。
POINT
1 ► 連帯保証債務の相続割合は、債権者の合意が必要 |
◎ ———— 連帯保証債務の相続割合は、債権者の合意が必要
経営者が自社の借り入れに対して、連帯保証をしていることはよくあります。もし、経営者が突然亡くなり、企業としても債務返済をできなくなれば、この債務は後継者以外の相続人にも、保証債務が相続されることになります。
たとえば、相続が発生した時は、企業として返済ができていたので、全ての法定相続人が単純相続しました。ところが、大口顧客の倒産から連鎖的に売上が激減し、企業としての債務返済ができなくなった場合に、先代経営者が個人保証をしていた部分の支払義務が、相続人に回ってきます。
この負の相続財産は「私は役員ではないから」「私は株式を相続していないから」といっても、一度単純相続してしまった以上、免れることはできません。
そこで、事業承継に伴い、後継者以外の法定相続人を連帯保証債務から解除し、先代経営者に代わり後継者を保証人に交代してもらうように、債権者である金融機関に交渉を行います。もし、企業業績も順調に伸びている場合は、個人保証も解除してもらうように、交渉すべきでしょう。経営者が亡くなったことを期に、事業を解散する場合には、企業として債務を支払うことができなくなります。
このような場合は、相続放棄をすれば連帯保証の義務から免れることになります。しかし、その他の財産も相続できなくなります。
そこで、生命保険を活用することも考えられます。生命保険は、相続放棄をしても固有の権利として受け取ることができます。ただし、生命保険の受取人が被相続人と指定されている場合は、保険金は相続財産となります。
この場合は、生命保険を受け取ってしまうと単純相続したとみなされます。専門家に相談しながら、対策を立てることをお勧めします。
次回タイトル
【相続と贈与どちらで財産を承継した方が得ですか?】
H27.11.15更新予定です。 どうぞお楽しみに!!