100年企業をめざす「事業の承継」(第65回)
66.事業承継と相続税や贈与税の関係を教えて下さい
POINT
1 ► 事業承継に伴う税金とは |
2 ► 事業承継と相続税や贈与税との関係 |
◎ ———— 事業承継に伴う税金とは
事業承継を実行する際の税負担は、どのような方法で事業承継を行うかにより変わります。税負担を考えずに、事業承継を進めたばかりに、税金を納めることができず、行き詰まることもあります。
また、税金の負担を抑えることばかりに注力してしまうと、事業承継が円滑に進まないこともあります。事業承継の実行には、早期からの税金対策が欠かせません。
事業承継計画の立案には、自社株式の評価額を把握することが基本です。評価額により、納税資金が予想以上に高額となる可能性があります。事業承継に伴う主な税金は、次になります。
① 所得税 | 売買による事業承継。売却した経営者に課税される |
② 相続税 | 相続による事業承継。後継者(法定相続人)に課税される |
③ 贈与税 | 贈与による事業承継。後継者(受贈者)に課税される |
その他、会社分割やM&Aによる事業承継方法の場合は、法人税や法人事業税がかかります。不動産の移動がある場合は、不動産取得税や登録免許税などの課税があります。
◎ ———— 事業承継と相続税や贈与税との関係
事業承継の方法は、経営者や後継者の年齢や財産構成、後継者以外の法定相続人を含む、家族構成などの環境により変わります。経営者が10人いれば、10通りの事業承継の方法があります。したがって、Aさんが成功した事業承継対策で、必ずしもBさんが成功するとは限りません。事業承継を円滑に行うためには、相続税や贈与税の対策を早期に着手することが重要です。
この対策の基本は、次になります。
1.財産の現状を把握する
① 法定相続人の確定
② 財産の把握と評価をする
③ 相続税額の把握と実効税率の把握
不動産などの財産がある場合は、売却や土地活用の検討を行う良いチャンスでもあります。
2.相続対策の立案
【揉めない対策】
① 遺言書の作成(公正証書遺言がベスト)
② 遺留分への配慮
③ 生前贈与と遺留分放棄
④ 財産の整理
【節税の対策】
① 生前贈与の活用
② 相続時精算課税制度の活用
③ 配偶者への贈与
④ 自社株式の評価の引き下げ
⑤ 会社分割など法人再編
⑥ 生命保険の活用
【納税の対策】
① 生命保険の活用
② 物納や延納の対策
③ 同族会社への不動産売却による資金調達
3.実行
自社にあった対策が見つかったら、スケジュールを立て実行して下さい。
次回タイトル
【連帯保証債務を相続するときの、注意点を教えて下さい】
H27.11.1更新予定です。 どうぞお楽しみに!!