100年企業をめざす「事業の承継」(第62回)
63.非上場株式の贈与税の納税猶予を、有効的に活用する方法を教えて下さい
POINT
1 ► 適用を受けるための要件 |
2 ► 納税猶予に係る期限の確定 |
◎ ———— 適用を受けるための要件
後継者が贈与により、前経営者から一括で自社株式を取得した場合に、贈与前から後継者が既に
保有していた議決権株式等を含めて、発行済み議決権株式総数の3分の2を上限として、贈与税の
100%が納税猶予となります。 適用要件は次になります。
1.会社の要件
① 非上場会社
② 中小企業基本法の中小企業
③ 風俗営業会社に該当しないこと
④ 資産管理会社に該当しないこと
⑤ 直前事業年度における総収入金額が0の会社に該当しないこと
⑥ 従業員数が0の会社に該当しないこと
2.後継者(相続人など)の要件
① 会社の代表者であること
② 前経営者の親族であること
③ 20歳以上
④ 役員就任から3年以上経過していること
⑤ 後継者とその同族関係者などにある者が所有する、議決権数が50%超を保有
かつその同族関係者の中で筆頭株主
3.前経営者(被相続人)の主な要件
① 会社の代表者であったこと
② 贈与の時までに会社の役員を退任すること
③ 贈与直前に贈与者とその同族関係者にある者が所有する、議決権数が50%超を保有
かつ後継者を除き、その同族関係者の中で筆頭株主
4.担保提供
納税が猶予される贈与税額及び利子税の額に見合う担保を税務署に提供します
5.贈与税の申告
贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までに、受贈者の住所地の
所轄税務署に贈与税の申告が必要
◎ ———— 納税猶予に係る期限の確定
納税猶予制度の適用を受ける後継者や認定承継会社が、一定の事由により贈与税の納税猶予に係る期限とされ、猶予中の贈与税の全部または一部とあわせて利子税を納付しなければならなくなります。 主な事由は次になります。
① 贈与を受けた後継者が、認定承継会社の代表者でなくなった場合(精神障害者保健
福祉手帳1級・身体障害者手帳1、2級の交付を受けた場合等やむを得ない事由が
ある場合は除く)
② 経営報告基準日において、常時使用従業員の数が、認定承継会社の贈与の時よりも、
80%を下回ることとなった場合
③ 贈与を受けた後継者とその関係者が有する議決権の数の合計が、総株主等議決権数の
50%以下となった場合
④ 贈与を受けた後継者の同族関係者が有する議決権が、その後継者の議決権を超えるこ
ととなった場合
⑤ 特例非上場株式等の一部または全部を、譲渡もしくは贈与した場合
⑥ 認定贈与承継会社が解散した場合
⑦ 認定贈与承継会社の総収入金額が0となった場合 など
贈与税の納税猶予制度の適用に係る、贈与税の申告書の提出期限の翌日から、利子税を合わせて
納付することになります。利子税の税率は、年3.6%とされています。
次回タイトル
【納税猶予期間中に贈与税が免除されることがあると聞きました】
H27.9.15更新予定です。どうぞお楽しみに!