100年企業をめざす「事業の承継」(第56回)
57.遺留分に関する民法の特例って何ですか?(その2)
POINT (POINT 1・2は前回掲載しています)
3 ► 前経営者や後継者の要件 |
4 ► 適用を受けるための手続き |
◎ ———— 前経営者や後継者の要件
【前経営者】
① 特例中小企業者の代表者(代表者である者を含む)
② 推定相続人(被相続人の兄弟姉妹及びその子以外に限る)
③ 株式等(完全無議決権株式を除く)
④ 推定相続人のうち少なくとも一人に対して株式等の贈与をした者
【後継者】
① 前経営者の推定相続人
② 前経営者から、該当する自社株式を生前贈与で取得した者
③ 前経営者から贈与により受けた者から、当該株式等を相続、遺贈若しくは贈与により取得した者
(下図参照)
④ 総株主(議決権を有す)または、総社員の議決権の過半数を有していること
⑤ 特例中小企業者の代表者である者
特例を利用できる後継者
◎ ———— 適用を受けるための手続き
先代経営者から後継者へ贈与された自社株式その他一定の財産について、遺留分算定の基礎財産から除外する、適用を受けるための手続きは、次になります。
① 合意をした日から1ヵ月以内に経済産業大臣に確認を受けるための申請
② 経済産業大臣の確認を受けた日から、1ヵ月以内に家庭裁判所に許可を申し立てる
従来の遺留分放棄は、放棄する当事者が個別に家庭裁判所に申し立てる必要がありました。しかし、この手続きは、後継者が単独で行うことができます。
この特例で、贈与株式が、遺留分減殺請求の対象から外れますので、相続に伴う株式分散を防ぐ効果があります。
遺留分算定の基礎財産から除外する適用を受ける手続き
次回タイトル
【事業承継時の金融支援措置はわが社でも活用できますか?】
H27.6.15更新予定です。 どうぞお楽しみに!