100年企業をめざす「事業の承継」(第52回)
53.自社株式の評価を下げる方法はありますか?
POINT
1 ► 株価が高い原因分析 |
2 ► 評価方法を変更する |
3 ► 評価額自体を引き下げる |
◎ ———— 株価が高い原因分析
自社株式の評価をしてみたら、あまりにも高額で後継者への株式移転方法や、相続税の納税資金に頭を悩ませる経営者もいらっしゃるでしょう。
まずは、原因を追究し引き下げ対策を行いましょう。類似業種比準価額が高い場合は、比準要素のうち、何が原因かを探ります。
純資産価額が高い場合も同様に、原因を探します。
◎ ———— 評価方法を変更する
一般的に自社株式は、純資産価額より類似業種比準価額の方が低くなります。
したがって、次の表の区分で見ると、類似業種比準価額の比重の大きい「大会社」に近いほど、株価は低くなることとなります。
会社規模を大きくするためには、取引金額(売上高)、純資産額、従業員数の基準により決まります。もし、純資産価額よりも類似業種比準価額が高額評価となった場合は、純資産価額で評価することができます。いずれにしても、業績が順調に伸び売上が増加し、会社規模を大きくすることで不利になるということはありません。
◎ ———— 評価額自体を引き下げる
業種比準価額を下げるためには、次の3つの要素を下げる必要があります。
① 配当
配当は直前2年間の平均値をとります。2年間の配当率を引き下げ、特別配当を利用する。
② 利益
不良債権の貸倒償却などを利用して、法人の利益を圧縮する。
その他に「役員退職金を支払う」「業績の悪い関係会社、子会社を合併する」などが挙げら
れます。
③ 簿価純資産
簿価純資産は、資本金と会社が留保した利益の合計額です。②の利益対策を行うことで
結果的に留保利益を減少させる効果があります。
純資産価額方式で、株価評価をする場合には、相続税評価上の評価額となります。
したがって、資産に含み益がある場合には株価は上昇しますので、「資産を減少」または「負債を増やす」ことが評価を下げる要因となります。
そのために「簿価純資産」同様に役員退職金の支払いなどがあげられます。
その他には、不動産など取得価額より相続税評価額の方が低い資産を、借入金によって購入する事が考えられます。
次回タイトル
【会社分割の方法とそのメリットを教えてください】
H27.4.15 更新予定です。 どうぞお楽しみに!