100年企業をめざす「事業の承継」(第49回)
50.貸し渋りや貸し剥がしへの対策を教えてください
POINT
1 ► 貸し渋りと貸し剥がしの違い |
2 ► なぜ、貸し渋りや貸し剥がしが行われるのか |
3 ► 貸し渋りへの対策 |
◎ ———— 貸し渋りと貸し剥がしの違い
「貸し渋り」と「貸し剥がし」の意味は、次になります。
「貸し渋り」とは、金融機関が企業からの融資申し込みに対して、条件を厳しくするなどにより、融資することを渋ることです。
「貸し剥がし」とは、金融機関が融資している企業に対して、担保処分による返済を迫る、金利を引き上げ他の借入による返済を誘導するなどで、貸出ている融資を積極的に回収する行動に出ることです。
◎ ———— なぜ、貸し渋りや貸し剥がしが行われるのか
金融機関には、自己資本比率を一定以上保たなければならない「BIS規制」が
あります。金融機関は、自己資本比率の数値が高いほど、健全性が高いと評価され
ます。しかし、基準を割り込んだ金融機関には、金融庁より早期是正措置が発動さ
れます。
結果的に、金融機関は自己資本比率の確保が必要になり、その方法として総資産を減らす
(融資)、つまり貸し渋りをします。融資を減らすことで、新たな不良債権を増やさない対策にもなります。
不良債権となっている融資や、これから不良債権となることが予想される場合は、貸し剥がしが行われます。
◎ ———— 貸し渋りへの対策
経営者が、現在の業績や今後の業績見通しなど状況を把握し、借入している事業資金について、
返済計画と遂行力を説明できることが重要です。
金融機関にとって「貸し渋り」や「貸し剥がし」の対象となる企業は、次が挙げられます。
● 業績が低迷
● 今後の業績改善の見通しがない
つまり、融資がきちんと返済できるのか不安な企業です。
そのために「事業計画で、現在の業績や今後の業績見通しなど状況を把握する」「利益構造や収益改善などを計画する」などにより、金融機関に自社の状況を、理解してもらうことが有効です。
事業計画は、絵空事ではなく、しっかりとした根拠に基づく実現可能なことが必要です。
次回タイトル
【事業承継に伴う遺産分割の考え方を教えて】
H27.3.1 更新予定です。 どうぞお楽しみに!