100年企業をめざす「事業の承継」(第38回)
39.粉飾決算はどうやって処理したらいいですか?
POINT
1 ► 粉飾決算は、承継前に解決する |
2 ► 納めすぎた税金を取り戻せる期限 |
3 ► 粉飾決算を正常化 |
◎ ———— 粉飾決算は、承継前に解決する

粉飾決算をしている企業があります。
● 金融機関から良い条件で融資を受けるため
少しでも税金を少なくするために、粉飾決算をしている企業もあり、これを逆粉飾決算といいます。逆粉飾決算は、税務申告の虚偽に対して、税金のペナルティがあります。
粉飾決算が発覚したら、直ちに事実確認を行わなければなりません。「いつから」「金額はいくらか」を正確に確認します。さらに、粉飾決算がなかった場合の、財務状況も把握してください。
◎ ———— 納めすぎた税金を取り戻せる期限
本来赤字を粉飾決算で良く見せて、法人税を過大に納めることになります。この場合は、通常の過大納付と取り扱いが異なります。
まず、仮装経理の結果を、前期損益修正損などの特別損益項目で修正し明示します。修正経理を行った決算書に基づき、確定申告書を提出します。
粉飾決算の場合は、税務申告上は損金とはならず、加算処理が必要になります。減額更正の請求手続きは、原則として法定申告期限から1年以内に限って認められています。
仮装経理の修正による減額更正の請求の場合には、過大納付した税額がすぐに還付されません。
過大納付額は、最大5年間で分割還付(控除)されます。
更正請求できる期日は、更正日を含む事業年度開始前5年間の事業年度分になります。
◎ ———— 粉飾決算を正常化
粉飾決算を正常化させるには、次の2段階が必要です。
① 粉飾を元に戻す
粉飾を一度に戻すと、莫大な赤字になる企業もあります。
3年から5年という歳月をかけて正常化するのも方法です。
② 経営の立て直し
正常な経営ならば、粉飾の必要はありません。
経営を改善し正しい決算で利益を出せる、体質づくりが必要です。
経営の立て直しは、全社一丸となって取り組まなければなりません。
正常な経営への改善は、後継者にバトンタッチするための、企業価値向上の第一歩です。
次回タイトル
【遺言で遺産分割の方法を決めた方が良いですか?】
H26.9.15 更新予定です。 どうぞお楽しみに!