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投稿者:柏樹 正一
|2020年11月23日(月)
税理士 柏樹 正一のコラム(第46回)
立証責任は、原則として、自己に有利な法律効果の発生を求める者が負うといわれていますが、主な具体例を紹介します。
① 所得の発生又は増加については、税務署が立証責任を
負い、所得の消滅又は減少については、納税者が立証
責任を負うといわれています。
➁ 収入と経費については、両者が確定しなければ所得と
税額が確定しないので、原則として、税務署に立証責
任があるといわれています。
ただ、経費については、納税者の支配領域内にある
有利な事柄で、証拠資料を整えておくことも比較的容易であることから、税務署が具体的証拠に
基づき一定額の経費の存在を明らかにし、収入との間に合理的な対応関係があると認められれば
これを超える額の経費は存在しないものと事実上推定され、納税者は、超過経費の内容を具体的
に明らかにして、ある程度の立証をしなければ、その推定を覆すことができないといわれていま
す。
なお、貸倒損失、簿外の経費等の特別の経費については、事実上不存在が推定され、納税者は
その推定を破る程度の立証責任を負うといわれています。
③ 各種の所得控除の事由については、その不存在について、税務署が立証責任を負うといわれてい
ます。
④ 税額控除の事由については、恩恵的・政策的に租税を減免する特別措置なので、納税者が立証責
任を負うといわれています。
⑤ 加算税については、過少申告加算税又は無申告加算税の賦課要件である修正申告、更正、期限後
申告、決定に係る基礎事実及び重加算税の賦課要件である「隠ぺい又は仮装」の事実について税
務署が立証責任を負い、過少申告加算税と無申告加算税の減免事由である「正当な理由」と
「更正の予知」の事実について納税者が立証責任を負うといわれています。