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投稿者:林 俊一
|2020年12月28日(月)
税理士 林 俊一のコラム(第80回)
会社役員の海外視察旅行等(海外渡航費)については、業務遂行上必要なものであるかどうかが税務調査において必ずといっていいほど確認されます。
これは、その性質上、一般的に長期間であること、高額になることも多いことから問題になるケースがあります。
海外渡航費の税務上の原則的な取扱いは次のとおりです。
「海外渡航が法人の業務遂行上必要なものであり、かつ、渡航のため通常必要と認められる部分の金額の範囲内のものかどうかにより、旅費としての当否を判断する」こととされております。
海外渡航がその会社の業務の遂行上必要と認められない場合に支給した海外渡航費については、旅費ではなく、役員に対する給与として取扱われることになります。
そして、この場合の給与は、臨時的な給与として取扱われるので、役員に対するものは、事前確定届出給与にも該当しないので損金の額に算入されません。
すなわち、源泉所得税及び法人税の課税問題が発生することとなります。
ここで、その支給した海外渡航費について通常必要と認められるかどうかの判定上問題となるのは、多くの場合、日当、宿泊料、支度金等の額が適正であるかという点です。
これについては、旅行先における物価事情、旅行目的、旅行期間等から勘案してその支給額の適否が判定されます。
また、その海外渡航が旅行期間のおおむね全期間を通じて、明らかに会社の業務の遂行上必要と認められるものである場合には(たとえばその期間中の休日等に観光地を周ったとしても)その金額が社会通念上合理的な基準により計算されている等不当に多額であると認められない限り、その支給する海外渡航費の全額を旅費として経理することができることとされております。